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【情報提供・動画公開】京都大学生存圏研究所第306回定例オープンセミナー「セルロースナノファイバーとともに42年 -則元モデルがクルマになるまで-」

京都大学生存圏研究所 矢野先生の、2023年12月20日「京都大学生存圏研究所 第306回定例オープンセミナー『セルロースナノファイバーとともに42年 -則元モデルがクルマになるまで-』」講演動画が公開されていますので、情報提供します。

動画公開はこちら(YouTube)


開催日時 2023年12月20日
発表者  矢野 浩之 (京都大学生存圏研究所・教授)

■要旨

私は、学生時代に、木材物理学の研究室でセルロースミクロフィブリル(今は、その束がセルロースナノファイバーと呼ばれています)と木材の音響特性の関係について学びました。当時、助教授だった則元先生が、図1の様なモデルを示し、それに基づき木材物性の計算を行い、複雑な階層構造を有する木材の弾性変形や膨潤・収縮特性、音響特性などが、この単純な二本の縦線とそれを囲む楕円(共に、セルロースミクロフィブリル)だけで説明できることを明らかにしました。
私は、則元モデルは木材物性の本質を語るものであり、木材物理学において、それ以上の研究は現れないと思いました。そこで木材からセルロースナノファイバー(CNF)を取り出し、それを加工した材料の開発を始めました。
その中で、軽量、高強度のCNFの特性を活かした軽量で高強度の材料、ナノ繊維になると可視光の散乱を生じないという特性を活かした低線熱膨張で透明な材料、大きく伸ばしてももとに戻るゴムの性質を残しCNFで強化した高弾性、低線熱膨張のゴム材料、CNFで補強して強度と熱的寸法安定性を向上させた熱可塑性樹脂(PPやPE, ナイロン6など)を京都市産業技術研究所や製紙会社、化学会社と一緒になって開発しました。
さらに、それらの材料を射出成形やブロー成型、プレス成形、ブロー成形、RTM(Resin Transfer Molding)、3D成形により各種部品・部材を製造し、CNFをできるだけ使用し、かつ走行可能な試作車(Nanocellulose Vehicle、 NCV)の開発に自動車部材メーカなどと取り組みました。
本講演では則元モデルがNCVになるまでの材料開発について紹介します。

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